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「屋久島の あるヤクシカ」


夜、ソファーの足元を背に床にじかに座り

新聞の情報誌をぼんやりと眺めていた。

床はファンヒーターに近いので足は暖かい。



今月の特集は世界遺産の屋久島。

どんと地面に食いこむように

どっしりと立つ縄文杉は

樹齢が2170年から7200年ともいわれているとか。


でこぼこはしているけど

数千歳にもなるのに、幹の樹肌は

乾燥肌ではなくて 柔らかしっとり肌。


きっと雨が多いからなのね。



その大きな幹に 両手をいっぱいに広げて

耳だけつけてみたら 何が聞こえないかしら?


生命の鼓動とか深い呼吸とか神聖な声とか・・・


そう神妙な気持ちで耳をそばだてていたら

「あんた暇だねえ。」

なんてしゃがれた声が聞こえてきたりしてね。



次のページに目を移すと、

森の中でこちら側を斜めに見ている

ヤクシカと目が合った。


もちろん、紙面で。



今も島のどこかにいるのよね?

そんな考えがふと浮かんできた。


そうしたら、ねえ?名前は?って

意味もなく聞いてみたくなった。


もちろん、心の中で。



すると、

僕に名前なんて聞いてどうするの?


もしそんなのがあったら、

あんたたちに干渉されて

自由でなくなってしまうじゃないか。


そんな声が聞こえてきたような気がした。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

昨日、文章 トレーニングを始めたばかりなですが、本の返却日に気がつきました。(ちょっとばかり過ぎていました(^^;)

いったん図書館に返して借り直してから2日目以降のトレーングをやることにしました。

その代り、今日は詩を・・・

全般の樹木の部分は後からゆっくりと考えたものです。

しかしシカの部分は次のページをめくるときにシカと目が合ったような気がして、一瞬、「今屋久島のどこかにいるのかな?」

「名前はなんだろう?」って思ったのです。するとシカに気持ちになってきて・・・

すぐにPCをたちあげ詩にしてみました。


【読んだ本】

芥川賞受賞作品

「あさっての人」諏訪哲史

「八月の路上に捨てる」井藤たかみ

「ひとり日和」青山七恵


ちょこっと感想

「あさっての人」

なかなか面白かったです。

内容は、作者の失踪した叔父の残された日記と、交通事故死した生前の妻から聞いたことなどをもとに、あさっての人(おじ)の以前の生活や失踪したおじ自身に迫っていく。

文章、文体、文章構成、進め方を十二分に考え、変えているのがうかがえる。資料や草稿を時間を追って並べている。異色作品。

まずいきなり、1つの文が読点もなく、1ページ半にもわたる長文なのに面くらいました。

読み進めるうちに、文体も代わり、読みやすくなり、少しづつ本の世界に入っていけました。

本の題名の「あさっての人」は、最初は知的障害の人とか痴呆の人をテーマにしているのだと想像していました。

が、・・・

主人公のおじ(あさっての人)の意味。終わりの方になってようやく理解しました。ああ、そういう人だったのかと。そういう意味だったのかと。

人には特別な能力のある人がいます。絶対音感のある人、一度見た風景を一瞬で正確に記憶する人。ずば抜けた計算能力の人。

この叔父さんは「言葉」の「語感」に、普通の人には感じないものを感じるのでしょう。

また人はさまざまな理解されがたい癖や欲求を持っていたりもします。

それが一般人には、医学的には病的であったりその境界だったり見えたりもするかもしれません。

が、本人は大いにまじめで何かを自分なりに追及していただけなのかもしれません。

研究者の才能を持っているのかもしれません。

「タポテンテュー」「チリバッハ」」「チューリップ男」・・・大笑いしました。

とても不思議で興味深い叔父さんです。

本の最後のページでは失踪したままでしたが、本が発行されてから歳月が経ちましたが、その後どうなったのでしょうか?

もし戻ってきていましたら、自分がモデルになっての芥川賞受賞作品について、作者の諏訪さんとの対談をぜひ聞いてみたいです。

何か面白い言葉を言ってくれるのを期待して。

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Last Modified : 2019-08-08