時のメロディー・花と犬とアートな日々

自然が好き。小さな幸せ探し・・・

TOP >   >  詩「指輪をはめて」

詩「指輪をはめて」

「指輪をはめて!」

「はめて!
指輪をはめて!
早くはめて!」

目覚めて間もない
まだうつろなままのあなたが
だんだん声を強めて言った


こんな状況の中の
あまりの突然さに
慌てて預かっていた指輪を探す

とりだした指輪を見つめると
元の形の見る影もなく
楕円でいびつな形にゆがんでいた


長い年月の間に
太くなった指からはずすのに
何度も苦労したと

銀色の指輪が
固く無言で
そう語っていた


今はいくらか細くなった
それでもまだ太い指に
そっとはめると

あなたは
安心したように
顔がほころんだ


長い疲労の
一日が過ぎ去り
翌朝になって

あなたは気がついて言った
眼鏡が無い!
眼鏡はどこ?


日々刻々と
あふれ流れゆく
言葉の川の流れの中から

きらりと光る
金のような言葉を
見つけ拾い上げた


あなたはもう
忘れてしまったはずの
ささいな小さな言葉

はめて!
指輪をはめて!
早くはめて!


それは
誰も欲しがらない
値段もつかない


私が見つけた
私だけの
大切な宝物

関連記事

Last Modified : 2019-08-08