三島由紀夫の「春の雪」を半分読んだところ。
お勧めの本を探していたら日本語が綺麗だと誰かのレビューにあったので。
たしかに日本語は綺麗かもしれない。語彙も非常に多い。日本語力はずばぬけている。
内容は公爵家の若き嫡子清顕(きよあき)と伯爵家の令嬢聡子の結ばれない恋。大正初期の貴族社会を舞台に、破滅へと運命づけられた悲劇的な愛(新潮文庫より)。四巻のうちの一巻。
半分読んで感じたのは、物語の中の随所に、繊細で知的でプライドの高い主人公の静かな怒りがたちこめていること。
それは東大法学部を出て大蔵省に勤務・退職し、作家活動後に自衛隊で自決した三島の彼自身の意識のようにも思える。
読んでいると、その繊細な物のとらえ方や怒りが私たちの心の奥に揺さぶりかけ、個人の埋もれていた感情(怒りだったり悲しみだったり)をも誘いだすような気がする。
私だけかもしれないが。
綺麗な音楽を聞いていると優しい気持ちになるように…。
童謡を聴くと懐かしい気持ちになるように…。
テンポのある曲を聴くと気分が高揚してくるように…。
ドロドロした曲を聴くとなんだか怖くなるように…。
何か独特の感情を呼びおこす。
もしこの一巻で満足し遠のいてしまったら、作者の言いたいこと・物語の真髄がわからないままになってしまう。
細やかな文章と登場人物の心情に合わせて丁寧に読んでいくなら全巻を読むのには私には相当のエネルギーが必要だ。
気楽に楽しく読める物語ではない。ややもすれば少し疲れる。
が、読み終えた時にはかなりの漢字力、読解力、洞察力、日本語力がついているかもしれない。
これをこのブログのテーマ、いい事の1つにあげたい。
*携帯から投稿したら、文章が長いため、途中で切れていたので最後部を追補しました。
Last Modified : 2019-08-08